観劇する時、日本では自由に席を選べます。(ヨーロッパやロシアの劇場ではロイヤルボックスやディレクターボックス等などがあり、そこは販売されません。)私がオペラやバレエなどを観劇する時は、オーケストラピット内も見える2階席や舞台袖が見える可能性のある舞台に近い上手側・下手側の端の席で観る事もあります。字幕もしっかり読み舞台全体を観たい時は前方席は見づらいので後方席を取ります。この字幕というのは中々重要なポイントでもあります。私もオペラを指揮演出しますので、字幕制作の難しさは実感しています。決まった字数の中で日本語に訳するのはとても難しい事で、それに加えて音楽の聴かせどころでは繰り返し同じ言葉が続いたり、1つの単語が音楽と共にその言葉が倍以上に引き延ばされる事も多々あります。訳者の方たちのセンスに唸ってしまう事もあり、これも観劇の楽しみの1つです。また逆に、字幕が見切れる席にあえて座り没頭する事もあります。いずれの席でも、自分の思考や感覚を舞台を通じて感じてくるので、偶発的に座る席でも私は良しとしています。現在制作中の『ロミオとジュリエット』も『ストゥーパ~新卒塔婆小町~』も字幕は使いますが、使い方はそれぞれ違います。『ロミオとジュリエット』はグランドバレエとして上演します。以前制作しましたのは、コンサートホールの舞台で対応した演奏会形式でした。
今回のグランドバレエでは総合舞台芸術として字幕が担う分量を少なくしますが、その分印象的になるよう、それでいてバレエ表現に集中できるようなタイミングでキュー出し位置を決めたいと思います。
『ストゥーパ~新卒塔婆小町~』では、字幕を使うべきか最初に決断が必要でした。
理由はズバリ日本語に日本語を訳する事に抵抗があったからです。
声に出した古文から意味を解釈するのはやはり難しいのが現実と判断し、合唱が担う古文には古文のままの字幕を出す事にしました。
漢字が入る事で理解度は急速に高まりました。
その代わり、俳優が演じる時の言葉は古風な日本語。つまりテレビや映画で時代ものをする時の言葉使いですから、セリフの言葉として充分理解できます。
等など、字幕ひとつ取っても色んな使い方があり、舞台芸術に尽きない想いが強くなるばかりです。
明日は『ストゥーパ~新卒塔婆小町~』の衣装・照明合わせ!
今日ようやく作曲家から仕上がったばかりの総譜が届きますヽ(;▽;)