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ヴァチカンへの道・4
リハーサルを振り返ってみます。

11月8日、リハーサル時間になっても日本からのイルミナートフィルが到着しません。 ローマは紀元前からの街ですから道も一通が多いし混みますし、停車する場所も限られており、少しの遅れが重なると大きく遅れてしまうのです。

待つ時間、サンタンドレア・デッラ・バッレ教会内部を見学しました。なぜトスカの舞台になったのかがわかり、大変感動しました。

気持ちを切り替えて20分遅れでオーケストラリハーサルが始まり、僅か数小節で一度演奏を止めました。
これまで経験した事の無い残響感でした。 しかし、後程グノーやオラショを演奏した時には、その残響は居心地良いものでした。
ベートーヴェンの第九は、不協和音だけでなくハーモニーがどうしても教会の壁にぶつかり共鳴できないように作られているのです。これはコンサートホールでは知り得ない大きな発見でした。
ベートーヴェンは明らかにその事を意識して作曲しています。
作曲家は発明家であり科学者でもあると私は思っていますが、この日改めてベートーヴェンの創意に敬意と感動でいっぱいになりました。
ベートーヴェンがあえて反発を作った、その意図した箇所が、場所の響きに慣れてくるとマイルドに作りがちですから、とにかくそうならないように注意を払いました。

そのうちに、合唱も到着し始めました。
全員の到着を待つと、もはやリハーサル時間がありませんから、とにかくこういった場合は合理的にリハーサルを進めるべきです。

4楽章に入り、バリトンソロが入る所でソリストが歌わない!
振り返ると、ソリストたちは見学者と一緒のようで座っていてスタンバイして居ない、、
なぜ!?
海外のオケや劇場から直接オファーが来るチャンスがあるようにとスミ・ジョー以外は私の強い要望で日本からソリストを選んだのですが、、

気を取り直し、その直前からやり直し。

前日に合唱は、同じ教会でリハーサルをしているはずですが、音の方向性が全く揃っていない、、、

壮行演奏会のコンサートホールは反響板もありますが、教会は360度音が回ってしまいます。 そういった感覚を掴んでいくのが前日のリハーサルだったはずですがそれが出来ていない、、、ヴァチカンはこの教会の何倍もある広さですからこのままでは構築設計をやり直しか、、と一瞬よぎりました。
しかし、何度か繰り返す内に、さすがイタリア人男声のスピントな声が現れて来ました。

グノー、オラショはみるみる調和し、やはりこの2曲が教会の為の音楽だという事だと実感しました。

リハーサルが終わり、指揮台を机に最終シーティングを決めました。
日本でのリハーサル時から直接各々の声を聞いたりしてきましたが、いかんせん約400人の人数ですから、立体的にするために組合せを何パターンも考えました。

いずれにしても、早期リハーサルからリードし声作りをしてきたメンバーを各位置の核になるようなシーティングにしました。

~つづく~
# by tomomi-nishimoto | 2013-11-18 19:29
佐賀から福岡へ
佐賀の公演が終わりました。
終演後、サイン会がありましたが、主に九州各地からお越し下さっているようで、皆さんヴァチカンの事を一緒に祈って下さっていたり、この後24日の日フィルとの公演にも行きますとお話下さったり、副指揮時代によく舞台を共にした歌手で大学の先輩と再会したり、親子、恋人、ご夫婦、年齢層も下は1歳から~
(≧▼≦)
サイン会に並んで下さいましたヽ(´▽`)/

公演でのブラボーと拍手、心に染み入りました。
(T-T)ありがとうございました!

さて、福岡空港から最終便で東京に戻りますので、 “ヴァチカンへの道“ の続きはまた明日のどこかのタイミングに書きます^-^
ずっと休み無くリハーサル&本番が続いてたので、今はちょっとホッとしたのかさすがに眠いのと背中が痛いです(^_^;)
ちょっと寝ます(~o~)zz
# by tomomi-nishimoto | 2013-11-17 20:54
ヴァチカンへの道・3
11月9日15時すぎ
サンピエトロ大聖堂に鐘が鳴り響き、枢機卿さまが登場されました。

それと同時に【オラショ(祈り)】を歌い始めました。
曲順を皆に伝えられたのは私が指揮台に上がった時になりましたので、念のため演奏前に曲名を言い改めて確認しあいました。

厳格厳粛なミサの中にあって、歌声が時空を越えていくようでした。
ヴァチカン側のご配慮により 日本からわざわざ来られた方にミサを優先的に受けれる席をご用意して下さいました。
それ以外は随分向こう側から参加されていましたが、およそ千人以上の人たちが聞いていました。

オペラシティのようなコンサートホールと違い、大聖堂は反響板もありませんから、声を出している人にとっては 自分の声が確認できない現象がどうしても起きます(サンパウロも同様)。合唱にソリスト的感覚が求められた瞬間でもありました。
しかし、クーポラに響いた声があちこちの方向に伸び響渡り、バランスもとても良かった。

ミサの最中、“曲順が違う”“曲が抜けている”と何度か私に言いに来る人がいました。(結局彼の勘違いだったと後でわかりましたが(;-_-+)
私はミサの大体の式次第は把握していますが、今回は【CRED】を最後にもってくる形で、しかも【オラショ】も入っているし、直前まで曲順確認が出来なかったので、もしかしたらミスをしたのかと、一瞬がスローモーションのようなりました。
“大切なミサで失敗があってはならない”
と強く思っていましたからその時の衝撃たるや、、
しかし、確認しても間違いはなく、、、
実は私が一番頼りにしていたのはコントラバスの後ろに居てくれた シスターの存在でした。
無言ですが“大丈夫”とか“まだ”とか合図をしてくれていたのです。

聖体拝領で、急遽繰り返して演奏したりもしましたが、合唱は完璧にその合図のもと歌いました。
そして音楽と儀式の寸法はピッタリ!
枢機卿さまが扉に入られた時に音楽が終わるというのもピッタリ!
これにはヴァチカン側の方々も驚いていらっしゃいました(^^)
そして、あまりにも一体感があったと音楽財団の幹部は涙を流していました。

枢機卿さまより 『大変満足している』とのお言葉が伝えられました。

指揮台でこれほど判断と決断を迫られた事はありませんでした。いつもはリハーサルで確認や解決できるからです。
ミサの後、ある所まで車で送って頂きましたが、スイスの衛兵たちが敬礼をしてくれて何だか大役を果たしたんだと時間が経つごとにしみじみ感じました。

ヴァチカンの門から出る時、私が乗っていたのが大きな黒塗りの車でしたから、通行人は何やら誰かが乗っているんだとワイワイ覗きにきました。そして口々に私を見て『パードレ(神父)』と言ってました。
こんな服装だけど違うんだけどな(^_^;)

その日の夜は日本大使館にご報告に伺いました。

シスターにはお礼も言えず仕舞になっているのが唯一の心残りです。
あの方の存在無くしてはこのような結果はありませんでした。

中井さんと滝川さんもやはりシスターに読む箇所を教えて頂いたという事です。
神様の御使いのシスター。
# by tomomi-nishimoto | 2013-11-16 22:26
ヴァチカンへの道・2
11月9日 昼前に音楽財団主催で簡単なランチがありました。

私は本番前なので飲み物だけ(^-^;

心配していた雨も止み、皆の願いが天候まで変えてしまったような、、雨上がりに何と虹が出たのです。
14時30分にミサの打合せの予定でしたが、説明してくれるはずの菅原神父は曲順の事はわからないと言われて、私は少々パニック!
ミサの中で、聖体を祭壇にお運びする3人と、ミサの中で聖書の一節を日本語で読む2人を決めるよう言われ、 読む2人は友人で見届けに来てくれた中井美穂さんと滝川クリステルさんにお願いしました。
やはり急に言って、きちんと読めるとなるとプロに限ります。
2人ともあまりに急な事に緊張もあったと思いまが、2人ともさすがでした!
プロフェッショナルです!友人として本当に誇らしかった!
まさかこんな展開になるなんて想像もしてなかったけど、素晴らしい展開になったと思います。
そして、
聖体をお運びする3人は、ニューヨーク、東京、福島からの3人。
やはり、急な指名にも関わらずとても落ち着いて大役を果たして下さいました。
~つづく~
# by tomomi-nishimoto | 2013-11-16 18:00
ヴァチカンへの道・1
今、福岡に居ます。
ヴァチカンでの事を少し振り返ってみます。

11月5日、翌日の午前中にあるローマ教皇さまとの謁見の為に団体より1日早い出発をしました。

機内では友人の滝川クリステルと偶然一緒になりました(^^)
彼女は壮行演奏会にも来てくれていたのですが、この日イタリアへのフライトはフィレンツェでのTV収録の為で、仕事を終えたら急遽ヴァチカンでの公演に駆け付けられるよう調整してみると言ってくれて、一旦ローマの空港で別かれました。
まさか当日のミサであんな事になろうとは全く予想すらしていなかった。

6日の午前中に教皇さまの謁見があり、その後様々な打合せが立て続けに入りました。
夜は黒柳徹子さん、大和証券会長、帝国ホテル会長をホテルでお迎え。

7日やはり打合せが続き、グレゴリオ大学にも務めていらっしゃいます 菅原神父ともお会いしました。
“約30年弱働いているが、ミサの祭壇には一度も上がった事がない” とお話になり、“日本語の訳が必要なら通訳します”と言って下さいましたので、お願い致しました。
結果、ヴァチカンの祭壇で日本語が話されるのは史上初めてとなりました。

ミサでの曲順について、私の方はヴァチカンの財団から直接お達しがありましたが、菅原神父のアドバイスと曲順が違いましたので、再び確認する事となりました。
しかし、ミサの式次第は
枢機卿さまが全て決められるとの事で、枢機卿さまからの連絡を待つことになりました。

~つづく~
# by tomomi-nishimoto | 2013-11-15 17:34



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